2021.7.21 2021.9.5
事業再構築補助金に申し込んでみた!緊急事態宣言特別枠の必要書類や作り方、スケジュールについて解説
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新型コロナウイルスの影響を受けて業績が上がりにくい環境の中、中小企業庁が行なっている事業再構築補助金に注目が集まっています。
その中でも採択率が高い緊急事態宣言特別枠へ申し込みを行っている方も多いです。
今回は弊社が事業再構築補助金に申し込んでみた上で、緊急事態宣言特別枠の必要書類や作り方、スケジュールについてご紹介いたします。
目次
事業再構築補助金とは
参考:事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは経済産業省中小企業庁が管轄をしており、補助金予算は1兆1,485億円と過去最大級の規模となっています。
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。
そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものです。
事業再構築補助金を申込む前に確認しておきたいポイント
事業再構築補助金を申込する上で重要なポイントについて見ていきましょう。
不備がないように審査項目を熟読
事業再構築補助金に限らずですが、補助金や助成金のような書類に不備があった場合は審査対象とはならずに無条件で不採択となってしまいます。
書類に不備や不足がある場合には審査できないことがありますとの記載がありますので注意しましょう。
審査担当
審査を担当するのが、外部有識者からなる採択審査委員会が審査を採択するようです。
外部有識者はビジネスについての知見は持っていると考えられますが、業界によっては専門外の方もいる可能性もあるため、誰が読んでもわかりやすい書類内容にした方が良いとアドバイスをもらいました。
特に専門用語が多すぎる資料は解読に時間がかかる可能性もあり、用語の意図が伝わらないかもしれないため、審査上不利になるかもしれませんので気を付けましょう。
事業再構築補助金の申込対象者
事業再構築補助金は大きく分けて、
- 緊急事態宣言特別枠
- 通常枠(中小企業、中堅企業)
- 卒業枠(中小企業)
- グローバルV字回復枠(中堅企業)
があります。
今回は緊急事態宣言特別枠について見ていきましょう。
緊急事態宣言特別枠について
緊急事態宣言特別枠は今年1月〜6月の緊急事態宣言により、影響を受けた事業者に対する特別枠です。
緊急事態宣言特別枠では、優先的に審査されるといったメリットがあります。
通常枠の補助率は2/3ですが、緊急事態宣言特別枠では3/4と補助率が引き上げられ、通常枠より迅速に審査・採択が行われています。
さらに、緊急事態宣言特別枠は採択件数に限りがありますが、緊急事態宣言特別枠で応募して不採択になった場合には加点の上で通常枠にて再審査されます。
緊急事態宣言特別枠の対象
緊急事態宣言特別枠は通常枠の申請要件を満たし、かつ、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、令和3年1〜6月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者になります。
要件に合致すれば、地域や業種は問いませんとの注意書きもありますが、基本的には飲食店やデパートなどのお店が該当すると思われます。
1回目の結果について
第1回では5,181者(要件を満たした申請件数4,326者)の応募結果、2,866者を採択したことが発表されています。
応募のうち20%程度が要件を満たしていなかったり申請に不備があったものと見られることから事前にしっかりと確認しましょう。
要件を満たした申請件数4,326者に対する2,866者の採択率は66%となっています。
補助額と補助率について
対象となる経費
対象となる経費は、通常枠と同様に以下のようになっています。
- 建物費
- 機械装置
- システム構築費(リース料を含む)
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝
- 販売促進費
- 研修費
審査結果の通知・公表について
採択の決定後、申請者全員に対して、採択・不採択の結果を事務局から通知があります。
採択となった案件については、受付番号、商号又は名称(法人番号を含む)、事業計画名(30字程度)、認定経営革新等支援機関等名、認定経営革新等支援機関等担当者名、認定経営革新等支援機関等以外の外部支援者名等を公表。
審査の結果については、今後のフォローアップの参考として事業計画の策定を行った認定経営革新等支援機関等に対して通知する場合があるようです。
第1回は申請受付締切りである5月7日の約1ヶ月後6月16日に採択結果の公表がありました。
申請書類について
15ページ(補助金額1,500万円以下の場合は10ページ)を超える事業計画を提出いただいた場合であっても、審査対象として取扱いますが、可能な限り指定ページ以内での作成をお願いいたしますと記載があります。
①事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事業再構築要件】
②申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年または2020 年1月~3月)の同じ3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していること【売上高減少要件】
ここで、直近6か月間のうち任意の3か月とされていますので、連続した月でなくても問題ありません。
例えば2020年11月、2021年1月、3月の売上合計が2019年11月、2020年1月、3月の売上合計から10%以上減少していれば、この要件を満たします。
③事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること【認定支援機関要件】
④補助事業終了後3~5 年で付加価値額が年率平均3%以上増加、または従業員1人当たり付加価値額が年率平均3%以上増加する事業計画を策定すること【付加価値額要件】
通常枠では、任意の3か月の売上が以前と比べて10%以上減少していることが求められますが、緊急事態宣言特別枠では、今年1~3月のいずれかの月が前年比で30%以上減少していることが求められます。
事業再構築補助金の加点措置について
事業再構築補助金には以下の加点措置の制度があります。
参考:https://jigyou-saikouchiku.jp/pdf/koubo001.pdf
それぞれ詳しく見ていきましょう。
売上高が前年同月比30%以上の減少
令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021年1月~6月のいずれかの月の売上高が対前年(2020年)もしくは対前々年(2019年)同月比で30%以上減少していることを証明する書類(令和3年の国による緊急事態宣言による影響であることの誓約書)を提出しましょう。
確定申告(決算)が終わっていない場合には売上が分かる様な総勘定元帳などを提出すれば大丈夫そうでした。
[aside]売上が単純に下がっているだけでは不可のよう
売上減少の原因が緊急事態宣言に伴う影響であるという原因が必要であり、それ以外の減少要因は認められない点に気を付けなくてはなりません。
例えば取引先との取引縮小や営業担当の成績が悪かったなどで売上減少になっていた場合は、たとえ1月~6月のいずれかで30%以上の減少になっていたとしても加点を得ることはできません。
コールセンターの方にも聞いたところ、単純な売上減少は経営努力不足としてみなされる可能性が高そうでした。
[/aside]
協力金よりも固定費が上回っている証明書
2021年1月~6月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ることを証明する書類提出が必要です。
例えば事務所や店舗の賃貸契約書などが当てはまります。
基本的には緊急事態宣言によって飲食店や百貨店のテナントなどの様に時短や休業申請を行い、協力金を受け取れる様な業種ではないと厳しそうだと思われます。
経済産業省が行うEBPMに対する協力
経済産業省が行うEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)の取組に対する協力です。
参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/others/seisaku_hyoka/pdf/029_06_00.pdf
EBPMは総務省のHPなどによると、「我が国の経済社会構造が急速に変化する中、限られた資源を有効に活用し、国民により信頼される行政を展開することを目指すための取組」とあります。
今回の補助金に関してもエビデンスに基づいた政策の立案や、政策効果の検証、検証結果を踏まえて改善を行っていくために、各社から情報提供を継続的に協力してもらえれば加点されるということになるでしょう。
多くの申請者が協力することが予想されますので、チェックしないことで他の申請者よりも採択可能性が低くなる可能性もあるため、問題ない様であればチェックしておくのがおすすめです。
事業計画を策定する認定支援機関を早めに探す
補助金の申請金額に関わらず、申請には認定支援機関の承認書類が必要です。
また、3,000万円以上の場合には金融機関と一緒に事業計画を作成する必要もあります。
第1回の認定支援機関別応募・申請・採択状況の応募状況を分析すると、金融機関が約8,100社で最も多く、次いで税理士関係が約5,600社、商工会・商工会議所が約3,500社程度となっていルようでした。
特に中小企業診断士、民間コンサル、地銀などの金融機関の採択率が高い傾向にあるようです。
金融機関の場合には基本費用はかかりませんが、中小企業診断士や民間コンサル会社の場合には費用がかかることが多いので利用するべきかどうかを含めて早めに調査をしておいた方が良いと思います。
ちなみに私は三菱UFJ銀行を認定支援機関として申請しました。
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