2019.1.30 2020.7.17
企業向け社内、会員制の動画共有のシステム構築と動画配信方法とは
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最近では企業が社内や自社の会員に向けて 動画配信 や 動画共有 を行うケースが増えてきています。
動画はテキストや画像に比べて情報量が多く伝達力が高いため、社内での動画共有は短時間で効率の良い情報伝達を実現してくれます。
動画共有の目的は経営トップのメッセージや経営方針などを共有する社内広報、コンプライアンスやeラーニングなどの教育コンテンツを共有する社内教育、FC店や会員に向けて情報発信を行ってコミュニケーションの一環として利用するケースなど様々見受けられます。
一方で動画を社内で共有するためには通信環境やシステムの整備が必要な場合も多く、共有する目的や動画コンテンツの内容によって動画共有の環境と場合によってはシステム構築をする必要があることはご存知でしょうか。
企業向け社内、会員制の動画共有のシステム構築と動画配信方法についてご紹介いたします。
目次
動画の配信規模とセキュリティー要件について確認を行う
企業が社内・会員制で動画共有する方法は目的や規模に応じていくつかのパターンがあります。
今回はその中でも代表的な方法として、
1、YouTubeでの動画共有
2、Google Driveでの動画共有
3、企業向け動画共有サービスでの動画共有
4、フルスクラッチでの動画共有
について見ていきましょう。
どの方法が自社の動画共有の方法として最適化判断するためにも、まずは動画の配信規模や自社のセキュリティー要件について整理することがおすすめです。
動画配信の規模
動画配信の規模とは、配信する動画の本数や尺の長さ、配信するペース、動画視聴人数を事前に把握しておきましょう。
どの程度の規模で動画配信をするかによって、その負荷に耐えうる設計をしたサービスの選定やシステム構築をする必要があります。
企業向けの動画配信サービスの多くが動画の保存容量や配信量、視聴人数をもとに料金プランが設定されているので、これらを事前にシミュレーションしておくことでサービスのコスト面での比較が可能となります。
なお、今まで社内向けや会員制動画共有の導入に関わってきた経験から言うと、シミュレーション想定よりもコストが膨らむことはさほど多くなく、どちらかと言うと思ったほど動画の視聴数が伸びないケースが見受けられました。
セキュリティー要件
配信する動画コンテンツがどの程度機密性の高いものか、万が一外部に流出して困る内容か、社内で指定するセキュリティー要件はないかなどを企画検討段階で把握しておくことが重要です。
企業の求めるセキュリティー要件によって動画共有の方法が異なってくることも考えらますので、事前に社内で確認してから企画を進めることで、後から企画が変更になるようなリスクを下げることにも繋がるのではないでしょうか。
自社のセキュリティーに関して疑問がある場合には、システム部門や経営陣に聞いて情報共有しておくことがおすすめです。
YouTubeで社内、会員制の動画共有
始めにご紹介するのが YouTube で動画共有する方法です。動画の共有と言えばYouTubeを思い浮かべる方も多いでしょう。
YouTubeは通常無料でYouTubeチャンネルの作成ができ、手軽にストリーミング配信が可能なこともあって、今や多くの企業がプロモーションや動画広告の出稿などで活用しています。
また、YouTubeで社内や会員向けに限定して動画共有をしたい場合には、各動画にプライバシー設定をすることが可能です。
プライバシー設定をするとURLを知っているユーザーのみが動画視聴ページを閲覧することが可能で、メンバーを限定して動画を共有することができます。
参考 : YouTubeヘルプ 動画のプライバシー設定を変更する
YouTubeで動画共有するデメリット
一方で、企業が社内や会員向けに動画共有したい場合に、YouTubeではあまりおすすめできない理由もあります。以下に代表的なデメリットを挙げました。
YouTubeは動画視聴ページのURLを知っている人は誰でも視聴が可能
YouTubeの限定公開機能は、ID/PWによるアカウントごとのログイン認証をするわけではありません。
動画視聴ページのURLが仮に部外者に漏れてしまった場合、その動画はURLを知っているユーザーであれば視聴出来てしまいます。
社外秘の情報が含まれる動画など取扱に注意が必要な動画の配信には不向きと言えます。
動画の総再生数は把握できるが、誰が何回視聴したかは把握できない
前述の通り、YouTubeの限定公開機能はアカウントごとのログイン認証を必要としないため、誰(どのアカウント)がどの動画を何回再生したかなど、アカウント情報に関連する視聴分析をすることができません。
eラーニングのように誰が見たのかを把握したい動画には不向きと言えます。
本数が多いと動画の検索が煩雑になる
一般的なYouTubeの視聴の際には動画を検索するとタイトル、動画の長さ、サムネイル、レコメンド動画など非常にわかりやすく利用ができますが、限定公開をしている場合にはそれが利用できないために各URLとタイトルなどをシートでまとめて管理するような方法になってしまいます。
本数が増えてくるとユーザビリティが良いとは言えない運用方法となってしまいます。
動画の複製方法が広く出回っている
YouTubeは利用ユーザーが多いことからインターネット上にYouTubeの動画を複製するための多くの情報が出回っています。
複製用のソフトやスマホ用のアプリなども簡単に入手することが可能なため、機密性の高い動画の配信には不向きと言えそうです。
セキュリティ上利用できない場合もある
大企業や金融業界などセキュリティーポリシー上の観点から、社内でYouTubeのような無料動画共有サービスを視聴できないようにファイアウォールでブロックしているケースも少なくありません。
YouTubeの利用規約に同意する必要がある
YouTubeやGoogle Driveには利用規約が存在し、サービスを利用する際にはその規約に従う必要があります。商用利用の制限事項や特許権、商標権、企業秘密、著作権などの扱い、アップロードできる動画の内容など細かく規定されています。
また、動画共有に限らずYouTubeで企業チャンネルを作ってプロモーションをしていた知り合いの会社が、思いがけない形でアカウントが削除されるケースや自社の動画に対して正当な権利を行使できないということも実際に起こっていました。
特に音源などは利用規約に引っかかる場合もありますので、必要に応じて社内の法務関係者などで確認した方が良さそうです。
Google Driveでの動画共有
Google Driveはオンラインストレージサービスで、動画ファイルを含めてさまざまなファイルを保存して共有することが可能です。
YouTubeとは違い、コンテンツごとにアクセス権限を付与することができることが特徴として挙げられます。
Google Driveで動画共有するメリット
Google Driveで動画共有するメリットにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
無料で利用ができる
Google Driveの場合には保存できるファイルサイズに制限がありますが、本数がさほど多くなければ費用をかけずに動画共有をすることが可能です。ここが一番のメリットと言えるでしょう。
システムの運用が簡単
Google Driveを利用してもサーバの保守、運用などを行わずに利用することができます。
たまにシステム障害などでアクセスができない場合もありますが、自社でエンジニアを抱えたり外注でお願いするよりもコストメリットが大きいでしょう。
Google Driveで動画共有するデメリット
続いてGoogle Driveで動画共有するデメリットにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
誰が視聴したかは把握できない
Google Driveでも誰が動画を視聴したかまでの詳細な履歴を取ることはできません。
本数が多いと動画の検索が煩雑になる
Google Driveでファイル名の検索やスプレッドシートで管理することも可能ですが、サムネイルの表示がないなど本数が増えてくるとユーザビリティが良いとは言えない運用方法となってしまいます。
Google Driveで動画共有するのに向いている企業
・配信本数が少なくまずは無料で簡単に初めてみたい場合
・G Suiteを利用していて社内でGoogle Driveの利用に慣れている場合
企業向け動画共有サービスでの動画共有
YouTubeやGoogle Driveなどの動画配信サービスの弱点を補ったものとして、企業向けの動画配信に特化したサービスがあります。
動画配信プラットフォーム、動画配信CMSなどとも呼ばれており、LIVE配信や会員制動画配信などが利用出来るサービスもあり、独自配信をすることができます。
企業向けの社内・会員制動画配信を行うことのできるサービスはいくつかありますが、今回は動画共有に特化していて限定配信が簡単にできるサービスについてご紹介いたします。
なお、企業向けの動画配信システムの選定ポイントと比較まとめ一覧についてという記事もありますので、より詳しく知りたい場合には以下の記事もご参照ください。
参考 : 企業向け動画配信システムの選定ポイントと比較まとめ一覧
動画共有(投稿&配信)サービス DOUPA!(ドウパ)ポータル
DOUPA!(ドウパ!)ポータルとは、インフォームシステム株式会社が開発しているサービスで、社員や会員限定で動画を公開したい際に、クローズドな動画配信サイトが簡単に作れて運用できるクラウドサービスです。
インターナルコミュニケーション(社内広報)やロープレ・研修用としての利用が広がっているようで、全国展開の企業、FCから中小企業まで業種を問わず活用できるでしょう。
YouTubeのように視聴者からの動画投稿機能もあり、組織内の動画共有サイトとしてコミュニケーション活性化にも利用されているようです。
動画配信サイトの運用に必要な基本機能が最初からすべて揃っており、運用管理者にHTMLなどの専門知識は一切必要ありません。
システム構築にほとんど時間を要することなく動画共有ポータルシステムやeラーニングシステム、動画販売システムの運用を始めることができます。
企業向けの社内や会員制動画共有には用途に合わせてDOUPA!(ドウパ!)シリーズの2つのサービスがおすすめです。
DOUPA!ポータル
DOUPA!ポータルは、企業や組織内の情報共有やコミュニケーションを支援する動画ポータルサイト構築システムです。
サイト基本設定、アカウント管理、チャンネル管理、コンテンツの投稿・管理、閲覧履歴取得、お知らせ管理、お問い合わせ管理、一斉メール配信などの機能を標準で備えています。
参考 : DOUPA!ポータル
DOUPA!ラーニング
DOUPA!ラーニングは、企業や組織内のキャリア開発研修プログラムなどで動画教材をお持ちの企業様に最適なeラーニングサイト構築システムです。
サイト基本設定、アカウント管理、チャンネル管理、教材管理、テスト・アンケート・レポートの管理、受講履歴管理、コミュニケーションツールの管理などの機能を標準で備えていて、効率的にeラーニングシステムが構築できます。
参考 : DOUPA!ラーニング
実際にどのようなサービスが利用できるかを体感できるデモサイトもありますので、ご興味がありましたら感触を確かめてみてはいかがでしょうか。
参考 : DOUPA!デモサイト
費用は月額10万円程度からとなっているようです。
企業向けの動画共有サービスを使うのに向いている企業
・配信本数がある程度多く動画の管理を楽に行いたい場合
・セキュリティー上ID/PWをかけて動画を共有したい場合
・利用方法などのサポートを受けたい場合
フルスクラッチでの動画共有
システムの自由度を優先的で予算が潤沢であればフルスクラッチで動画共有システムを構築することも選択肢の一つとしておすすめです。
一般的によくあるケースとしては、社内や会員制の限定公開ポータルサイトをスクラッチ(カスタムオーダーメイド)にて構築し、動画配信部分は外部のシステムを組み込むことが多いようです。
フルスクラッチで動画共有をするメリット
フルスクラッチで構築するメリットとしては機能やデザイン、運用する管理画面など独自の仕様にすることができ、自由度が高いことが挙げられます。
フルスクラッチで動画共有をするデメリット
一方デメリットとしては、通常は開発期間が長期化し、開発・保守含めて費用も比較的高額となりやすいということが挙げられます。
そのため相当に大規模な配信を想定したプロジェクトであったり、予算や開発リソースの確保に余裕がある場合に限られた方法となります。
カスタムメイドが可能! necfru MediaCloud / ネクフル
ネクフル社が提供している動画配信サービスがnecfru MediaCloudです。
特徴としてはご利用企業やサービスごとに主にAWS(アマゾンのクラウドサービス)を利用してカスタムメイドで構築を行ってくれることが挙げられます。
パッケージではなく、カスタムメイドで構築と言うと高額で長期プロジェクト向けという印象を受けますが、過去に数多くの案件で蓄積されているアーキテクト(機能部分)がアーカイブされており、それらの中から顧客向けの物を組み合わせて構築するため、費用はかなり抑えられることも多いです。
既に利用しているシステムとの連携やパッケージでは実現が難しいカスタマイズも柔軟に対応が可能なため、中小規模の配信から大規模配信まで幅広い実績があります。
オンデマンド配信だけではなく音声配信やライブ配信も可能で、AWSのTechnology Partnerでもあることから、動画配信以外のサイト構築や決済機能なども相談が可能です。
選定ポイント
・中小規模の配信から大規模配信まで事例がある
・ご利用企業ごとに個別に環境を構築するため、実現出来ないことがほぼ無い
・AWSを利用したシステム構築も一緒にお任せ可能で、サーバーを原価よりも大幅に安く調達しているため運用費用の低減も
・中堅規模から大規模に動画配信やメディア化を行いたい企業向けのサービス
フルスクラッチで動画共有を行うのに向いている企業
・予算や開発リソースがあって機能やデザインなどにこだわりたい場合
・自社独自の配信を行いたい場合
・自社で作ったサービスを他社にも販売することを考えている場合
シングルサインオンで利便性を高める
シングルサインオン(SSO)とは、一つのIDとパスワードで認証を行い、複数のシステムやクラウドサービスにアクセスする仕組みです。
通常、企業では従業員向けに複数のシステムを導入しています。
例えば、イントラネット、勤怠システム、グループウェア、営業支援ツール、顧客管理システムなど、それぞれのシステムごとに異なるIDとパスワードを管理し、ログインするたびにそれらを使い分けるのは管理がとても煩雑になりますのでシングルサインオンのニーズは高まります。
企業の規模や連携サービスの仕様、社内ネットワーク環境によってシングルサインオンを成立させる方式は異なります。
社内向けに動画共有するためのシステムを導入する際も、シングルサインオンのニーズは重要です。
そのため、組織の要件にあった方式でシングルサインオンを成立することができるかが、社内向け動画共有システムを導入する際は選定のポイントとなってきます。
シングルサインオンのよく利用される手法としては、AD連携やWindowsのログオン、SAML認証などが挙げられますが、既に他のシステムなどでシングルサインオンを行っていれば、動画共有サイトとも比較的簡単に実装することも可能です。
配信規模やセキュリティー、予算にあった方法で動画共有を行おう
今後も動画の活用が増えていくと予想される中、企業内での動画共有方法についてご紹介いたしましたが、配信規模やセキュリティー、予算にあった方法で動画共有を行うことを検討するべきでしょう。
配信本数が少なく、セキュリティもさほど厳しくないようでしたらGoogle Driveでの共有から始めてみるのもおすすめです。
それなりに本数が増えそうで視聴者の管理も行いたいということであれば、動画共有サービスの利用が一番良いでしょう。
よほどカスタマイズにこだわったり、自社で構築したい理由がなければフルスクラッチは期間と費用がかさみやすいためあまりおすすめできません。
それぞれの方法のメリットとデメリットを理解した上で、自社にとって最適な方法を選択されることをおすすめいたします。
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